Cubaseの作業中、動作が重くなったり音にノイズが入ったりしてお困りではありませんか?
こちらの記事で動作を軽くする方法を紹介していますが、ソフトシンセ音源のHALion Sonic 7の起動数を減らすことによってもCPU負荷を削減し動作を軽くすることができます。
この記事では、HALion Sonicの起動数を減らすことでパソコンへの負荷を軽くし、Cubaseの動作を軽くする方法をご紹介します。
デメリットもありますが、トラック数上限対策にもなる方法です。
Cubaseの動作を軽くしたい方はぜひご覧ください!
※この記事はCubase Artist 13、HALion Sonic 7の環境で説明しています。
HALionを複数起動するとパソコンに負荷がかかりCubaseが重くなる
HALion Sonicを複数起動するとパソコンに負荷がかかり、Cubaseが重くなることがあります。
HALion Sonicはプラグインシンセというソフトウェアであり、1トラックに1つ設定していくとソフトが同時にいくつも起動している状態になってしまうからです。
PhotoshopとIllustratorと動画編集ソフトとZoomと……とたくさんソフトを立ち上げているような状態です。
しかし、これからご紹介するHALion Sonicの設定でCubaseの動作を軽くすることができます。
HALion起動数削減でCPU負荷をどれだけ減らせるか
実際にHALion Sonicの起動数を減らすことでどのくらい負荷が変化するのか調べてみました。
空のプロジェクトを作ってタスクマネージャーで調べます。
16トラックを作りHALion Sonicを16個起動した場合のCPU使用率は14%でした。
一方、16トラックを作りHALionを1個だけ起動した場合のCPU使用率は6%でした。
何もノーツを書き込んでいない状態での計測ですが、CPU負荷を8%下げることができました。
データの量が重くなると変わってくるかもしれませんが、CPU負荷を減らすことに効果があるといえそうですね。
HALion1つで複数の音色を出す方法
それでは、HALion Sonicを1つだけ起動して複数の音色を出す方法を紹介していきます。
HALion Sonicは1つ起動させることで16種類の音色を出すことができます(マルチティンバー音源と言います)。
1トラックに1つという立ち上げ方は必ずしも必要ではありません。
1つ起動すれば16トラック分の音色を出すことができます。
それでは、実際に起動方法を説明していきます。
1つ目のトラックをインストゥルメントトラックで作る
「トラックを追加」から「インストゥルメント」を選択し、インストゥルメントの中からHALion Sonicを選択します。
この時、トラックの名前を使う楽器名などにしておくとわかりやすいです。
2つ目以降のトラックをMIDIトラックで増やす
MIDIトラックを作ります。
「トラックを追加」から「MIDI」を選択します。
「MIDI出力」でMIDI接続するインストゥルメント、「グループとチャンネル」でMIDIチャンネルを選択します。
ここでは「piano」に設定した1つ目のトラックのチャンネル2を選択します。
さらに楽器を増やす場合は順番にチャンネル3、チャンネル4……の順番で別のチャンネルを割り当てます。
この時も名前を変更することをお勧めします。
デフォルトのままだと「MIDI 01」と表示され、後で行うチャンネルの設定の時に分かりづらくなってしまうからです。
Cubase12では、後ほど接続の設定をします。
各トラックに音色を設定する
最初に作ったインストゥルメントトラックの鍵盤マークをクリックしてHALion Sonicのウィンドウを表示します。
左側のパネルの1番が選択されているので1個目のトラックで使用する楽器を選択します。
次に、2番の枠をクリックし2個目のトラックで使用する楽器を選択します。
今回は1番にピアノ、2番にギターを設定してみます。
これで1つのHALion Sonicで2つの音色が出せるようになりました。
Cubase12では、この後適切に接続されているかを確認します。
Inspectorタブを見て、表示が以下のようになっていれば接続されています。
- 「アウトプットのルーティング(画像赤線)」に起動しているシンセの名前(ここでは「01.HALion Sonic」)
- 「チャンネル(画像赤線)」にHALionで音色を設定した番号(ここでは「2」)
HALion Sonicの起動数を減らすメリット・デメリット
ここまでHALion Sonicの起動数を減らす方法について紹介してきましたが、CPU使用率を下げる以外のメリットやデメリットが存在します。
メリット・デメリットを加味してこの方法を使うか考えてください。
メリット:インストゥルメント数制限があるグレードの対策になる
Cubaseではグレードによってトラックの数に上限があります。
上限数は以下のようになっています。
インストゥルメントトラック | MIDIトラック | |
LE | 8 | 24 |
AI | 16 | 48 |
Elements | 24 | 64 |
Artist | 無制限 | 無制限 |
Pro | 無制限 | 無制限 |
このように、LE、AI、ElementsではHALion Sonicを含むインストゥルメントのトラックの数に制限があることが分かります。
MIDIトラックの数にも制限がありますが、上限数がインストゥルメントトラックより多いので、MIDIトラックで音を増やすことがトラック上限数対策になります。
デメリット:音がモノラルになる
MIDIトラックで作成したMIDIデータは、音がモノラルになってしまいます。
元ある音源のステレオを生かしたい人には、上記の方法は向いていません。
デメリット:個別にエフェクトをかけられないなど、操作が煩雑になる
作ったMIDIトラックだけにエフェクトをかける、などの操作が難しいです。
また、HALion Sonicを複数立ち上げている場合どのトラックがどのHALionに接続しているかが分かりにくくなってしまいます。
どんな人がHALion Sonicの削減を試すべきか
デメリットも多いことを考えると、HALion Sonicの削減を試すべきなのは下記に当てはまる人だと言えます。
- パソコンのスペックがギリギリで、少しでもCPU使用率を抑えたい人
- トラック数に上限があるグレードのCubase(SE・AI・Elements)を使っている人
まとめ:CPU負荷を下げてCubaseで快適に作業しよう
この記事ではCubaseで快適に作業するためにHALion Sonicの起動を減らしてCPUへの負担を抑える方法を紹介しました。
HALion Sonicを1つ起動し、MIDIトラックで楽器を増やしていくことでパソコンの負荷を抑えることができます。
動作を軽くして、サクサク作業していきましょう!
こちらの記事ではCubaseの設定によって動作を軽くする方法を紹介していますので、参考にしてみてください。
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