- DTMにトラックボールがおすすめと聞くけどどうして?
- マウスとトラックボールのどっちがDTMに向いている?
「DTMはトラックボールがおすすめ」「プロも使っている」と言われますが、なぜおすすめなのか、マウスとどう違うのかはいまいちわかりにくいと思います。
トラックボールマウスは見慣れない形なうえに普通のマウスよりも高いので、どんなにおすすめと言われても手を出しにくいという面もあるでしょう。
本記事ではトラックボールがなぜDTMの作業におすすめとされるのかを、使用感を交えて解説します。
おすすめされる理由は大きくまとめると以下の3つです。
デメリットも解説しているので、トラックボール導入のヒントにしてみてください。
記事内の検証で使っているトラックボールはロジクールのM575SPです。
M575SPは店舗で体験した他社製品・同社の他製品よりもクリック音が非常に小さく気に入っています。
あわせて紹介します。
- トラックボールがなぜDTMにおすすめなのか
- 入力デバイスを選ぶポイント
DTMでトラックボールを使うのはなぜ?
DTMの現場でトラックボールが使われる理由は以下の3つと考えられます。
手首への負担が少なく、長時間作業しても疲れにくいから
手首を動かさず固定したまま作業できるので、長時間作業になりやすいDTMでも疲れにくいです。
普段マウスを手首のスナップで操作していると手首の負担になり、腱鞘炎になるリスクがあります。
私は腱鞘炎予備軍ですが、普通のマウスを動かすときは常に手首に負荷を感じていました。
トラックボールだと負荷はありません。
フェーダーなどの細かい操作に向いているから
DTMでは画面上のフェーダーやノブ(つまみ)を精密に操作する必要があります。
トラックボールは通常のマウスよりも細かい操作を得意とするので、入力時のストレスを減らせます。
トラックボールが精密な操作に向いている理由は以下の4つです。
- 手首ではなく指先でマウスポインタを操作できる
- 手首を固定できるので安定した操作ができる
- 机の摩擦による抵抗に動作が依存しない
- クリック時のずれを防げる
特に④が実際に使ってみて重要だと感じました。
普通のマウスだとクリックボタンを押した力でマウスが動いてしまい、フェーダーがずれる時などがあります。
しかしトラックボールなら、ボールから指を外してしまえばどれだけマウスが動いてもカーソルは動きません。
その分動作が遅れることもありますが、スピードよりも精度重視の作業には向いています。
逆にゲームなど素早い動きが必要な用途では向かなさそうです。
動かす必要がないので場所を取らないから
普通のマウスと違って動かすためのスペースが必要ないので、場所を取りません。
DTMをするときの机の上はキーボードだけでなくMIDIキーボード、オーディオインターフェース、フィジカルコントローラーなど機材が場所を取りがちです。
マウスは動かすためのスペースが必要ですが、トラックボールは置くことさえできればどこでも操作可能です。
少ないスペースでカーソルを大きく動かすためにはマウスを持ち上げて元の位置に戻す必要がありますが、トラックボールでは必要ありません。
マウスを持ち上げた時の重さも手首の負担に感じていたので、とても楽になりました。
DTMにはトラックボールがおすすめだけど、マウスでいい場合も
実際に使った結果、私はDTMの作業にトラックボールはおすすめできると思いました。
しかし誰でも・どんな場合でもおすすめできるわけではなく、好みの問題でマウスや他の入力デバイスを使っても大きな差はないと考えています。
あえてトラックボールを使わなくてもよさそうな場合は以下の3つが考えられます。
普段のマウスの操作のしかたによって疲れにくい人
普段から手首を固定し、腕から動かしてマウスを操作している人だとトラックボールの恩恵は受けにくいようです。
ピアノ奏者あるあるかも
トラックボールで軽減できるのは手首の負担なので、もともとマウスを使っていて手首に負担を感じない人は無理してトラックボールを使わなくてもよさそうです。
マウス操作のための十分なスペースがある場合
私の机は狭いので置き場所さえあれば使えるトラックボールにメリットを感じますが、マウスを動かす十分なスペースがあればトラックボールは不要かもしれません。
頻繁にマウスを元の位置に戻さずに済んでいるなら、場所は足りていると言えます。
トラックパッドという選択肢
カーソルの入力デバイスとして、マウスやトラックボール以外にトラックパッド(タッチパッド)も考えられます。
トラックパッドはノートパソコンに付属していて操作しにくいイメージもありますが、外付けする大型のものも販売されています。
好みはありそうですが、トラックパッドも指での細かい操作ができるのが長所です。
DAWによってはスマホのように、ピンチイン・ピンチアウトなどのジェスチャーで拡大縮小などを操作できる場合もあります。
Cubase+トラックボールの組み合わせは良さそう
私はCubaseユーザーですが、今のところCubaseとトラックボールの相性は良さそうだと考えています。
一番の理由はCubaseのツールバーです。
Cubaseのツールバーはタイムラインやピアノロールで右クリックすると現れ、その場でツールを切り替えることができます。
しかしツールバーは右クリックした地点から右側に表示されるので、ツール切り替えを繰り返しているとマウスはどんどん右側に行ってしまい、元の場所に戻す必要があります。
トラックボールならボールを動かすだけなので何も問題はありません。
ショートカットで切り替える人には関係ないかもしれませんが…
フェーダーの操作が正確にできるのはもちろん、オートメーションのフリーハンド入力も問題なくできそうだったので使い続けようと思っています。
ロジクールのトラックボール「M575SP」の使用感
本記事で使っているのはロジクールの親指操作タイプのトラックボール「M575SP」です。
特徴は以下の4点です。
クリック音がとても静か
クリック音が非常に静かです。
以前家電量販店でロジクールやケンジントンの見本を触った時に「クリックの押しこみの感覚が好みでないな」と思い購入を見送った経験があります。
トラックボールは普通のマウスより選択肢が少ないのもデメリットかもしれません。
しかしM575SPは非常に静かで、押し込みも少なく気に入りました。
同じロジクールの静音タイプのマウスと同等の静かさなので、静かな場所で使っても音は全く気になりません。
Amazonの記載では「M575(従来モデル)よりクリック音を約80%削減」とのことです。
適度な重みと滑り止め
トラックボールは普通のマウスと違い本体は動かさないので、操作中に動かないことが重要です。
M575SPは適度に重さがあり、底面にしっかり滑り止めがついているので動く心配はありません。
M575SPの重さは、Amazonでの表示によると145gです。
私が今まで使っていて、少し重めと感じていたマウス(ロジクールのM331)は78gなので、2倍近い重さがあります。
手を置いていてもまず動かないので、安定して操作ができます。
ボタンにソフトごとのショートカットを割り当てられる
トラックボールに限ったことではありませんが、ボタンがついていれば専用のアプリを使って機能やショートカットを割り当てることができ、便利に使えます。
特にロジクールのマウスは、アプリでソフトごとに割り当てを変えられます。
M575SPは2つのボタンがあり、デフォルトでブラウザの「進む」と「戻る」が割り当てられています。
私はブラウザをよく使うので普段はデフォルトのままで、Cubaseを使う時は2つのボタンとホイール押し込みにそれぞれスペース(再生/停止)Shift+B(カーソル位置を前のマーカーに設定)Ctrl+S(保存)を割り当て、ボタン一つで実行できるようにしました。
よく使うキーを割り当てると便利です。
設定も簡単でした。
ショートカットキーをボタンに割り当てるので、既にショートカットキーを割り当ててある機能であればどんな機能でもワンクリックで実行できます。
Cubaseの初期設定キーボードショートカットは以下の記事で紹介しています。
サイズは人によっては少し大きいかも
M575SPは手にフィットするように作られていますが、手が小さい人・指が短い人にとっては少し大きいです。
私は指が短めですが、机に手首を固定して持つと上側のボタンに人差し指が届きません。
それ以外は気に入っているので使いますが、気になる人は別の形のマウスが良いかもしれません。
ボタンは便利ですが、ボタン目当てに買ったわけではないので満足しています。
トラックボールを使うデメリット
実際にトラックボールを使ってみてDTMに役立ちそうと感じましたが、トラックボールを使うことにはデメリットもあります。
使い方が独特で慣れるまで大変
多くのパソコンを使う人はマウス操作に慣れていますが、トラックボールの操作はマウスと大きく異なるので、最初は違和感を覚える人がほとんどだと思います。
「精密な動作が長所」と言われても慣れるまでは動かすのが難しく、逆に操作が不安定になると感じてしまうかもしれません。
とはいえ私は数時間使ったら慣れました。
慣れるまでの時間には個人差がありますが、楽しんで使えればすぐに操作は上達します。
「新しい入力方法を試してみたい」という人には、ワクワクして使えてむしろ向いています。
指での繊細な操作が必要
トラックボールは手全体でなく指先などで操作するので繊細にカーソルを動かせますが、不器用で指の動作に自信がない・手が震えやすいという人は思い通りに動かすことが難しいこともあります。
私も手が震えやすいので、最初はカーソルがプルプルしてました。
しかしゆっくり動かす、狙った場所でボールから指を離すなどのコツをつかむことで、上手く操作できるようになりました。
慣れるまでは大変ですが、練習することで快適な入力方法になってくれます。
普通のマウスより高く、自分に合ったものを見つけるのが大変
トラックボールは普通のマウスよりも高額であることがほとんどで「合わなかったから買い直し」が簡単にできない場合もあります。
可能ならば家電量販店などの見本を見ると良いですが、すべての店に置いてあるわけでもありません。
選ぶのが難しいからこそ、私はM575SPをおすすめします。
M575SPは静音タイプのマウスの押し心地が好きな人に特におすすめです。
軽い操作感で、長時間にわたるDTMの作業にもしっかり耐えてくれます。
よくある質問
DTMとトラックボールに関するよくある質問をまとめました。
トラックボールで快適にDTMができる-まとめ
DTMでなぜトラックボールがおすすめされるのか、実際に使うとどうなるのかを見てきました。
DTMにトラックボールを使うとよい理由をおさらいします。
向き不向きは個人差がありますが、3つのメリットを見て魅力的に思った人には導入をおすすめします。
入力デバイスを最適化して、快適に楽曲制作をしましょう。