VOCALOID6 EditorでVOCALOID:AI対応のボイスバンクを英語で歌わせてみたいけど、発音がいまいち……とお悩みではありませんか?
日本語と英語の発音のしかたは大きく違うので、単純にカタカナで歌詞を打ち込んでも発音は日本語風になってしまいます。
しかし、VOCALOID6 Editorには英語用の発音記号が用意されており、英語対応のボイスバンクを使えば「英語っぽい」発音で歌わせることができます!
この記事は、VOCALOID:AIに英語を発音させるための基礎知識について、VOCALOID6 Editorの英語の発音記号と辞書に記載されている発音記号の対応表とその解説です。
この記事を読めば英語のボカロエディタでの入力方法がわかります。
ぜひ読んで、英語曲制作に挑戦してみてください!
VOCALOID:AIに英語を歌わせるための知識~発音記号~
発音記号とは、ある言語の発音のしかたを他の言語を話す人でも理解できるようにするための表記法です。
例えば、日本語の「あ」は日本語話者からしたら「ア」でしかありませんが、IPAという国際的な基準の発音記号で表すと/a/と表されます。
一方、英語の「ア」に相当する発音は、/æ/、/ɑ/、/ʌ/、/a/のように分かれます。
これらの違いは英単語のスペルを見ただけでは分かりません。
このように、異なる言語の発音を相対的に表すための記号が「発音記号」になります。
「辞書の発音記号」と「VOCALOID6 Editorの発音記号」
英語の正確な発音を調べるには英和辞書を引くのが一番確実な方法です。
なぜなら英和辞書には上でお話ししたIPAの発音記号が記載されていることが多いからです。
例)information→/ìnfɚméiʃən/
ではその発音記号をVOCALOID6 Editorに入力すればいいのかというと、違います。
VOCALOID6 Editorで使う発音記号は辞書の書き方とは異なる独自の物を使用しています。
調べたところ辞書と完全に対応しているわけではないのが困り物ですね……。
VOCALOID:AIに英語を歌わせるための知識~音節~
音節とは、連続する音の切れ目のことです。
日本語では1文字が1音節になりますが、英語の音節は母音が1つ、母音の前後の子音が0~3個で構成されています。
ボーカロイドに英語を歌わせるためには、「1音に1音節」という考え方が重要になります。
先ほどの例を音節に分けてみます。
例)information→/ìn・fɚ・méi・ʃən/
音節の区切りは辞書によっては記載されていないこともあります。
オンライン辞書も活用して調べましょう。
「単語」ではなく「連続する音」と書いたのは、英語は実際に発音されるときには単語どうしの音がくっついてしまうことがあるからです。
英語歌詞では、基本的に1つのノートに1つの音節を当てはめることになります。
VOCALOID:AIの音節分解の精度は低め?
VOCALOID:AI対応のボイスバンクはマルチリンガル対応!とのことですが、歌詞の流し込みで英単語を入力すると上手に発音してくれる単語としてくれない単語があるようで……。
どうも音節の切れ目をうまく認識してくれないというか、認識してくれる単語と認識してくれない単語があるようです。
音節について理解し、自分で修正する技術が必要になってきます。
辞書⇔VOCALOID6 Editorの発音記号対応表
辞書の表記とVOCALOID6 Editor上の発音記号の対応表を作りました。
VOCALOID6 Editorが英語をうまく認識してくれなかったときに、英単語の発音と音節を英和辞書で調べる→発音記号の対応表を見ながら歌詞として入力するという形で使っていただければと思います。
母音編
母音についてまとめた表が下記になります。
入力する場合は全て半角になります。
規則として、一般的なアルファベットにない記号は大文字で代用しているようです。
大文字と小文字は区別があるということになりますね。
子音編
母音についてまとめた表が下記になります。
入力する場合は全て半角になります。
辞書に記載されない発音の違いについて
一般的な辞書では区別されていませんが、VOCALOID6 Editorでは区別されている音があるので少し解説します。
帯気音(b/d/g/p/t/k)
表中に/bʰ/のように、右上に小さいhがついている発音記号があります。
この「ʰ」という記号は辞書には記載されません。
これは帯気音(有気音)といって、例えば/bʰ/であれば/b/の音の後に少しだけ息の音が聞こえる音になります。
/b/、/d/、/g/、/p/、/t/、/k/の音が音節の最初の音になる時に発生します。
light L(明るいL)とdark L(暗いL)
表中にLの発音が2種類あります。
VOCALOID6 Editorの説明書には/L/の方に「音節の始め」という注意書きがしてありましたが、おそらく音声学で言うlight L(明るいL)とdark L(暗いL)の違いだと思われます。
わずかな違いですが、音節の最初の音は/L/、途中や最後の音は/l/という風に使い分けるとよいでしょう。
まとめ:発音記号を活用して英語曲を作ろう!
VOCALOID6 Editorの発音記号について解説しました。
きれいな、思い通りの発音の英語歌詞を歌わせる方法はたぶん次の通りです。
英単語の発音と音節を英和辞書で調べる→発音記号の対応表を見ながら歌詞として入力する
なんかもうちょっと効率のいい方法ないのかな……と思う管理人ですが、とりあえず発音記号の候補でよく分からない記号が表示されてもやもやする日々は終わりそうです。
発音記号を活用して、かっこいいボカロ曲を作ってみましょう!